製造業は製品の生産などに力を入れるあまり、営業活動へ注力できないなどの課題が発生します。このような課題を解決するのに有効なのが、営業ツールであるSFAです。本記事では、製造業におけるSFAの役割や導入により得られるメリットなどを解説します。
SFAとは
SFAは「Sales Force Automation」の略称で、営業支援ツールを指す用語です。営業部門における情報のデータ化やその管理・業務の自動化を行うことで、営業活動をサポートします。
製造業では製品の品質や納期が重要視されがちですが、営業や顧客管理をおろそかにしては、利益を得られません。しかし、営業や顧客管理に労力を分けるのも難しい企業が多い傾向になります。
SFAを導入し営業活動にかける労力を軽減できれば、製品の品質や生産量を維持しつつ、営業活動に注力できるようになります。自社製品の販売に力を入れたいなら、SFAの導入を検討しましょう。
SFAを導入すると得られるメリット
SFAは営業活動の効率化に役立つツールですが、具体的にどのような効果をもたらすのでしょうか。次は、製造業にSFAを導入すると得られるメリットを解説します。
営業の属人化防止
製造業は事業の要である商品開発や製品現場に注力しがちです。どうしても営業に割ける人材は限られています。
営業活動が属人化すると、対応が遅れている・漏れている案件があっても企業は気づけません。最悪の場合、大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。また、成果を上げていてもそのテクニックや成功事例の共有ができません。これでは営業担当ごとの成果に差が生まれてしまいます。
SFAで案件や顧客・成功事例をデータ化して共有すれば、このような事態を未然に防ぐことができます。失注やクレームの予防・営業成果の均一化などの課題を抱えているなら、SFAの導入を検討しましょう。
営業情報の可視化
SFAを導入すれば、営業担当者ごとの案件数や受注予定金額・受注予定日などの情報をすべて一括管理できます。営業情報の可視化も、SFA導入で得られるメリットです。
製造業で目的金額を確実に達成するには、綿密な計画に基づいた営業計画は欠かせません。目標金額を正確に設定するには、売上見込みや進捗管理を詳細に行う必要があります。
SFAを導入すれば、売上見込みや進捗で減少や遅れがあってもすぐ気が付けるため、的確にサポートできます。また、過去案件の分析により、正確な営業予測を立てることで、無理な計画を立てて業務を圧迫する事態の予防も可能です。
営業活動の生産性向上
SFAを導入すれば、データ入力や画面上の編集に係る手間を軽減できます。営業活動の生鮮性向上効果が期待できるでしょう。
営業データをExcelやスプレッドシートなどで管理していると、すべてのデータを手作業で入力しなくてはなりません。入力に時間がかかるうえに、手間が多い分ミスも増えます。本来なら営業活動にかけたい時間や労力を、入力作業で消費する状態になりかねません。
SFAはあらかじめ決められている項目にデータ入力していくだけで済むため、入力にかかる時間や手間を軽減できます。外部ツールと連携できるソフトを活用すれば、業務プロセス自体の改善も期待できるでしょう。
入力作業やデータ分析に必要な時間や手間を軽減できれば、その分営業活動に注力できます。結果、売上や営業利益の向上にもつながります。これもSFAによるメリットです。
SFA導入で発生する可能性のあるデメリット
便利なSFAですが、デメリットもあります。導入の際は、デメリットの発生を防ぐ対策も必要です。SFA導入で発生する恐れのあるデメリットについても知っておきましょう。
コストの発生
SFAはサブスクリプション型のクラウドサービスで提供されるのが一般的です。一度に多くのアカウントで契約してしまうと、毎月のコストが大きくなります。無駄な出費が増える可能性があるのは、頭の痛いデメリットです。
コストの発生を最小限に防ぐには、SFAを活用できる環境を整えるのが重要となります。すぐにサービスやソフトを導入するのではなく、まずは活用できる環境を整えましょう。そのうえで、必要な分だけアカウントを契約してください。
作業の増大
入力項目が多ければ多いほど、作業の手間も大きくなります。これは、SFAも変わりません。不要な入力項目があると、SFAを導入しても作業時間や手間の軽減といったメリットをつぶしてしまう恐れがあります。
入力項目が増えればその分詳細な分析もできますが、作業効率が落ちてしまいます。SFAを有効活用するには、導入初期に入力項目の取捨選択をしておくことも大切です。
SFAを選ぶときのポイント
SFAのメリットを最大限活かし、デメリットによる影響を抑えるには、ツール選びの段階から注意する必要があります。SFA導入の際は、以下のポイントをおさえながら検討しましょう。
導入目的と課題を明確にする
SFAを導入する際重要なのが、導入目的と課題の明確化です。SFAの導入は、営業活動により発生している課題を解決するために行われます。課題解決に役立つ機能がないツールを導入しても、意味がありません。
導入前に、自社の営業部門が抱えている課題を洗い出しましょう。課題を洗い出せば、SFAに求める機能も自然と分かるようになります。ツール選びの際は、課題の洗い出しから分かる必要な機能をもとに、導入候補を絞り込みましょう。
使いやすさをチェックする
SFAのメリットは、使いやすさによっても大きく変化します。効率的に作業できるかをよくチェックしたうえで導入しましょう。具体的には、以下のポイントをチェックして操作性を確かめます。
- インターフェースがシンプルか
- 自社の課題解決や目的に沿った機能が搭載されているか
- 使わない機能が搭載されていないか
- 外部ツールとの連携機能
- スマートフォン対応機能
SFAツールには無料でトライアルを設けているものもあります。実際に操作して上記のチェックポイントを満たしているか確認しましょう。
サポート体制の充実度も確認する
ツールを利用していると、不具合やヘルプサポートが必要になるケースもあります。万が一の事態に備え、サポート体制が充実しているかも欠かさずチェックしましょう。
同じ機能のツールでも、サポートが導入時のみのところもあれば、問題なく運営できるまでサポートしてくれるところもあり、実にさまざまです。また、サポート形式もチャットやメール・定期的なミーティングなど、ツールごとに異なります。
自社や利用する営業担当者が使いやすいサポート体制を築いているかも、重要なチェックポイントです。
利用料金も比較する
SFAツールは、利用料金がかかります。適切な価格設定がされているかもチェックしましょう。SFAツールは2種類に分けられ、それぞれ利用料金の金額や発生タイミングが異なります。
ツールのタイプ | 仕組み | 料金発生タイミングと価格の傾向 |
クラウド型 | オンラインサーバーから提供されるシステムをWEB上で使う | 月額料金 |
オンプレミス型 | システムを社内に構築し自社運営する | インフラ構築のために初期コストがかかる |
また、オプションで追加機能やサポートをつけると、追加料金が発生する場合があります。利用期間や利用人数によっても変化するため、注意が必要です。
たとえば、SFAツールのひとつである「Nice営業物語 on kintone」は、複数の料金コースから選べるようになっています。基本コースに必要なテンプレートを選ぶことで、自社に必要な機能をムダのない価格で提供できるのが特徴です。
このように、自社に必要な機能を選ぶことで価格を調節できるツールもあります。SFAツールを選ぶときは、利用料金が予算内に収まるか、費用上の無駄がないかも含めてよくチェックしたうえで検討しましょう。
まとめ
SFAツールは、製造業の強い味方です。うまく活用すれば、売上や営業利益の向上も期待できるでしょう。導入の際は、自社の環境整備やツールの検討も欠かさず行ってください。